前回のあらすじ。

今回の大阪帰省で母と選んだ場所は、地元の串カツ屋さん。
電車に揺られ地元の駅まで十年ぶりに来たので懐かしさも感じますが
この地元での記憶は決して良いものでは無かったのです・・・。
・自己回帰の旅2
・『ジョー・ベル 〜心の旅〜』
今回の大阪帰省は自己回帰が目的で、幼少時代からの自分を振り返る旅。
帰省から沖縄に戻って来た後、LGBTをテーマにしている気になっていた作品を見終えました。まさに自分の思春期時代を投影させるものだったので興味深く。
『ジョー・ベル 〜心の旅〜』という実話に基づいた映画なのですが、キャストは映画テッドや90年代初期のカルバンクライン広告で起用され肉体派かつ演技派の俳優として知られるマーク・ウォールバーグが主演した2020年に公開された作品。
日本では公開されなかったようなので配信サイトなどで鑑賞できます。
ほんとタイムリー鑑賞したのですが、父と息子、そして家族愛の話に共感する部分も多かったのです。
簡単なあらすじはというと、田舎町で育った息子はゲイで学校でいじめられていて、カミングアウトを父親にするところから物語が始まるのです。
ちょうど前回のブログ記事に私も父の話をしたばかりだったので、感慨深く観終えました。
私が父にカミングアウトをしたのは、もう大人になってからなのですが、自分のセクシャリティに気づいたのが小学校高学年の時だったので、それからはずっと誰にも言えないまま独りで抱えながら成長していきました。
小学生の頃ははっきりと確信がなく、ランドセルの色に抵抗を感じていたことや、女性アイドル歌手に憧れていたことなどと、徐々にといった感じで、けれどクラスメイトや周りからからかわれるようになり、周りの男の子と違うなぁと自覚していくことになるのです。
映画の冒頭部分にも息子から父にカミングアウトをするシーンがあるのですが、うちの父の場合はどう思ったのでしょうか?
メイクをして実家に戻ったときは、玄関先で父が「誰かわからへんやん」と言っていましたが、その時も10年以上里帰りしていなくて会ってなかったのです。
この映画のこともう少しお話したいのですが、ネタバレになってしまうので敢えて省略しますが、自分とオーバーラップするのでこのシーンも含めて昔を回帰させられる作品でした。
・厳しかった父
父はとても厳格で、門限は夕方5時、そこから外出などはほぼ許されず、テレビよりはラジオを聴けと言われ、晩御飯どきは私語厳禁、母と姉とで話したり笑ったりすると怒られるかキッチンの灯りを切られ、ひどいときにはブレーカーごと落とされた中で食事をしていたこともありました。
照明を落とされた直後の真っ暗闇の中で食べるご飯は何も見えないのだけれど、少したつと目が慣れてくるのです。
それから、向かいや隣近所からの光が漏れるのを頼りに食器と箸を持ち、近隣から一家団欒の笑い声などが、灯りがない私たちの食卓に聞こえてくるのです。
小学校低学年から高学年、中学の初めのころまでの何年間かそういう日々を虐げられてたのですが、現在では私は気ごころ知れた友達たちと食事をする機会がとても大好きで大切な時間となっています。
今や携帯など連絡手段も簡単ですが、昭和の時代にはまだそこまで普及されてなく、家には黒電話一台のみでした。
その通信手段でさえも、夜に友達と少し話そうものなら切られていました。
ですが、習い事は許されていたので夜に書道教室やそろばん、塾に、体操教室、空手など通わせてもらって夜に習い事があると外に出れることが嬉しかったことを覚えています。
母は姉と私をよくかばってくれましたが、庇うと父に責められ、時には暴力を振るわれるので、最初は母も抵抗をしていましたが、そのうち激しさを増す日もあったので、力で勝てない母は泣いていました。それを見かねて私と姉は離婚のすすめを幼いながらにしょっちゅうしていましたが、母は踏みとどまってくれていました。
私が仕事をしてお金を稼ぎたいと思ったのはそういうこともあったからです。
けれども、毎日がそういう悪夢のような日々というわけでもなく、機嫌の良い日には父は家族で食事にと連れて行ってくれていたのです。
その一つが今回の串かつ屋でした。


・帰省道中、母からメールが届く。そして、再会。
関空着後、携帯をチェックしたら母からメールが入っていました。
父が夏バテだというのです。
10年ぶりに家族3人が揃う日だったのですが、父は来れなくなりました。
子供のときに連れて行ってくれた串カツ屋さんには予約をいれてあったので、私は電車で地元の駅へと向かい母とお店で合流。母は少し脚を悪くしているのですが、先にお店で待っていてくれていました。
こちらのお店はなんと45年営業されてる老舗。
すでに30年以上は顔を出していないことになるのですが、大将面影ありました。お店の内装もほぼ当時のまま。
昭和レトロな雰囲気すら感じる地下街に構える串カツの店。


この日一睡もしてなかったので、乾杯はお茶で。
私たちはおまかせのコースをいただき、近況など話しました。父のことはあまり聞けませんでしたが、もしこの場にいていたら久しぶりに写真を撮って後ろ姿の家族写真をブログに公開できればなぁと思ってましたが、このお皿で例えてみます。


母、父、子。といったところでしょうか。
懐かしさある串カツの数々、熱々でいただきましたよ。
母は気を遣ってくれるので、父と名付けた生まれたときの男のコの名前で最初に呼んだ後、わざわざ訂正して今の女性名で呼びなおしてくれます。人前でそれをされると気恥ずかしいのですが、母も理解しているもののややこしいに違いがありません。大人になってからわが子の名前を裁判所で変更手続きをされ「女のコの名前に変わりました、今日からこの名前で呼んで」みたいなことになるのですから。うける(笑)
親孝行したかったので、今回は私持ち。食後は母とスタバでお茶しました。カートを支えにしてバスで来てくれたので帰りはタクシーで帰ってもらいました。写真や動画撮ったり、笑いありの晩御飯楽しかったな。
・人は許せる。
今回当初は母とだけ地元で会う予定にしていたのですが、電話で父の様子などを伺っていた私に母から提案があり、父とも会うことで進めてきました。
残念ながら会えませんでしたが、子供の時に嫌な思いをしたり、一時は嫌いになっても、少しでも良い部分や記憶が残っていれば、人は起きたことを水に流せたり、許せたり、関係を修復させ、やり直すことだってできるものなのです。
それは、友人関係などにも当てはまると考えています。
映画『ジョー・ベル 〜心の旅〜』で、家族同士「愛してる。」とお互い何度も確認しあうのですが、
のぞまれて生まれてきたと思いたいし、愛情もあったと思いたい。
大人になってからなんとなくわかったのですが、当時父も心身のストレスや疲労があったんだろうなと解釈しています。
子供の育て方やコミュニケーションに関しては、とても不器用な父ではありましたが、今は母と仲良く暮らしててもらえれば安心なので、それが願いです。
今、あなたが学校や家庭などで逃げ場の無い抱えている悩みや問題も、ときには周りに救いや話を聞いてもらってください。
ほんとうに辛い時、親身になって手を差し伸べてくれる人があなたの本当の友達であり良きパートナーであり、理解者です。
自分回帰の旅はまだ長いのでこれからも記事にしていくと思いますが、末永くお付き合いくださいね。
コメント欄も設けておりますので良識ある範囲で感想などいただけましたら、とても励みになります。
読んでいただきありがとうございました。
大阪編続きます。
最後に・・・・


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